『花弁と進化』についてGAC星野様からの投稿です!
GACの星野和夫様(GA31期生、GAC2005年入会)から「花弁と進化」についての投稿です。彼は庭園班「さくらチーム」リーダーで植物の知識に詳しい方です。ご一読ください。
花は植物の世代をつなげてゆくための大事な生殖器官で、美しく咲くのは人のためでなく、昆虫や鳥を呼び寄せて花粉を運びめしべに受粉させてもらうために咲いている。このため花は昆虫や鳥に見つけてもらえるよう美しく飾った花びらで呼び寄せ、花弁の奥には甘い香りを漂わせ蜜を用意している。蜜を吸いに花に入った虫たちは、雄しべの花粉を体になすり付けて雌しべに運んで付けてもらい受粉がはじまる。いわゆる虫媒花や鳥媒花といわれアブラナ科、バラ科、キク科、モクレン等花を付ける多くの植物(被子植物)では、この様に花と虫の共存関係ができあがり互いに進化してきた。
被子植物の前に発生したスギやマツなどは裸子植物と言われ、花弁は無い(小さい)いが花粉を持っており、花粉は風に乗り飛ばされて花にたどり着くと雌しべの代わりにむき出しの花粉室(胚珠)に付着して受粉がはじまるいわゆる風媒花。このために大量の花粉とばしスギ等は膨大な花粉を飛ばすため、人に花粉症を生じさせている。裸子植物から進化した被子植物は昆虫たちの仲立ちによって受粉が行われるため少量の花粉で受粉ができるようになり効率が著しく向上した。
《花弁への進化》:初期の被子植物には、花被(花)は萼片・総苞だけで花弁が無い原始的被子植物。キンポウゲ科、ユリ科(チューリップ、ユリなど)は本当の花弁と萼由来の花弁とが一緒に咲く。ホタルブクロのように萼がまるで葉の様に、カタバミの花びらも葉脈のような細い筋が見え葉からの進化が伺える。チューリップ等のユリ科の植物は花びらが6枚で、内側の3枚が元々の花びらで内花被と言われ、外側の3枚は初め緑色した萼だが、色が変わって花弁となり外花被と言われる。
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